合理的ドラッグデザイン

合理的ドラッグデザイン技術について

合理的ドラッグデザイン技術により、創薬ターゲットの活性を制御するためのより適切な化合物をご提案できます。 しかも、その提案には理論的な背景が含まれているため、次の化合物最適化のステップに大いに役立ちます。

ファルマデザインの合理的なドラッグデザインは、主にタンパク質の立体構造に基づいております。このように、立体構造に基づく手法を、Structure Based Drug Design (SBDD) と呼びます。このSBDDを利用した化合物提案の流れを以下に示します。

 

合理的ドラッグデザイン技術により、創薬ターゲットの活性を制御するためのより適切な化合物をご提案できます。ファルマデザインの合理的なドラッグデザインは、主にタンパク質の立体構造に基づいております(Structure Based Drug Design (SBDD))。このSBDDを利用した化合物提案の流れを図に示します。

 

なお、ファルマデザインは、SBDDを得意としておりますが、SBDDにはタンパク質の立体構造を必要とします。タンパク質の立体構造に関する情報が得られていない場合、創薬ターゲットに対する既知活性化合物情報をもとに、Ligand Based Drug Design (LBDD) により、新規活性化合物候補をご提案することも可能です。

以下に、ファルマデザインの合理的ドラッグデザイン技術、特にSBDD技術を構成する諸技術について簡単にご紹介します。 

 

化合物ライブラリの構築

後述するバーチャルスクリーニングをより効率的に行うために、400万以上の市販の化合物をその構造的な特徴や、予測された物性により数十万の化合物に絞り込みます。例えば絞込みの基準は以下のようなものがあります。

  1. 1. 既存の医薬品に対してある程度類似した物性を持っていること
  2. 2. 毒性を持ちうる官能基を含んでいないこと

そして、バーチャルスクリーニングは立体構造を用いて行うので、絞り込まれた化合物の立体構造を用意する必要があります。そのために、インシリコで化合物の三次元座標を発生させます。
これらの操作により、バーチャルスクリーニング用の化合物ライブラリを構築します。

 

合理的ドラッグデザインのための準備

創薬ターゲットに関する情報、すなわち、目的とする疾患に対する創薬ターゲット、創薬ターゲットの立体構造、および創薬ターゲットに活性を持つ既知化合物などを洗い出すための技術です。

ファルマデザインでは、バイオインフォマティクス技術を活用して、以下のような作業を実施します。

  1. 1. 文献調査等による創薬ターゲットの探索
  2. 2. 配列類似性検索による創薬ターゲットの立体構造情報の取得
  3. 3. 配列解析による創薬ターゲットの機能予測
  4. 4. 文献情報をもとに構築されたケミカルバイオロジーデータベースによる創薬ターゲットに活性を持ちうる化合物の調査

ホモロジーモデリング

後述するバーチャルスクリーニングを実施するためには、創薬ターゲットの立体構造に関する情報が必要となります。しかしながら、常に創薬ターゲットの立体構造を得られるわけではありません。そこで、創薬ターゲットの立体構造が構造が解かれていない場合、ホモロジーモデリングにより、創薬ターゲットの立体構造を構築します。これは、創薬ターゲットに類似したアミノ酸配列を持つ立体構造既知のタンパク質の構造から、創薬ターゲットの構造を構築する手法です。

 

MD法、QM/MM法

MD (Molecular Dynamics; 分子動力学) 法は分子の動的な構造をシミュレートするための手法です。一方、QM/MM (Quantum mechanics/Molecular mechanics; 量子力学/分子力学) 法は、巨大分子中の化学反応機構を探るために用いられる手法です。

ファルマデザインでは、MD法は主に創薬ターゲットタンパク質の構造をモデリングする際に用いられます。タンパク質の立体構造はゆらいでおり、バーチャルスクリーニングに使用するポケットの構造も微妙に構造しています。MD法により、この微妙な変化をしている構造を明らかにし、結合モデルの作成やバーチャルスクリーニングに適用します。

また、QM/MM法は、ポケットにおけるリガンド*1とタンパク質の結合状態をより明らかにする目的で使用します。

*1リガンド: タンパク質に特異的に結合する物質

 

結合モデルの作成

バーチャルスクリーニングにおいては、X線結晶構造解析などによって実験的に解かれたリガンド-タンパク質の複合体構造*2を利用するのが創薬ターゲットのポケットに最も適合する化合物が得られる方法です。

*2 リガンド-タンパク質の複合体構造: リガンドが創薬ターゲットタンパク質に結合した状態の立体構造

しかしながら、常にそのような複合体構造を得られるわけではありません。複合体構造が決定されていない場合は、リガンドがターゲットと結合する妥当な構造をインシリコで構築します。これを結合モデルと呼びます。

ファルマデザインでは、以下のような方法で結合モデルを構築しています。

  • ターゲットタンパク質立体構造に対して、ドッキングプログラムを活用しながら結合モデルを作成します。
  • その際に、リガンドおよびその誘導体の構造活性相関情報や、入手可能なタンパク質の変異体の結合情報などの実験情報を踏まえて、リガンド結合部位、結合様式を判断し、実験結果が説明できる合理的な結合モデルを作成します。
  • また、後述するバーチャルスクリーニングにおいては、複数の既知リガンドがドッキングプログラムで適切な結合モデルで出力されるように、結合モデルを独自プログラムを用いて作成しています。これによりバーチャルスクリーニングの精度を上げることができます。
  • 文献情報をもとに構築されたケミカルバイオロジーデータベースによる創薬ターゲットに活性を持ちうる化合物の調査

バーチャルスクリーニングと化合物の選択

スクリーニングとは、たくさんの化合物のなかから創薬ターゲットタンパク質に活性を持つ化合物を選び出すことです。これを、インシリコで実施することをバーチャルスクリーニングと呼びます。SBDDにおけるバーチャルスクリーニングでは、化合物の評価には、創薬ターゲットタンパク質が持つポケット (活性を制御する部位) に対して化合物がうまく適合するかを基準にしています。

ファルマデザインでは、バーチャルスクリーニングについて以下のようなことを実施しています。

  • リガンドは構造の自由度を考慮しますが、計算時間の都合で一般的にはタンパク質は剛体として計算します。
  • 本計算に先立って、既知の活性化合物と1000程度の少数の不活性化合物を用いてバーチャルスクリーニングの予備計算を行い、活性化合物がスコア上位に濃縮されている事を確認します。
  • 作成した化合物ライブラリを用いてバーチャルスクリーニングの本計算を行います。
  • 計算後は計算したスコアの他、タンパク質とリガンドの結合様式の情報を用いて絞り込み、最終的に研究員が目視で結合様式を確認しながら化合物を選抜し、数百程度の候補化合物リストを作成します。

 

リード最適化

バーチャルスクリーニングの結果をもとに活性評価を行いヒット化合物を見出した後、化合物を改変してより活性および選択性を高めることをリード最適化と呼びます。ファルマデザインでは、これまでに以下のような手順で、リード最適化に成功しました。

  1. 1. バーチャルスクリーニングで得られたヒット化合物の、ターゲットタンパク質への結合様式を詳細に検討する。
  2. 2. ヒット化合物と同じscaffoldを有するもの、または類縁体を市販化合物データベースに対し検索し、購入・アッセイすることにより、ヒット化合物周辺化合物の構造活性相関情報を得る。
  3. 3. 得られた構造活性相関仮説に基づき、さらに活性が上昇すると予想される化合物を購入する。

今後は市販化合物にとどまらず、バーチャルコンビナトリアルケミストリーにより部分構造最適化を行い、よい活性や物性が最も期待できる化合物を実際に共同研究機関等に合成してもらい、リード最適化を行う予定です。

 

これら合理的ドラッグデザイン技術を利用した、製品・サービスについては、以下のページをご覧ください。

 

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